BASF―脱炭素化に向けエネルギー大手RWEと協業―

化学大手のBASFは21日、エネルギー大手のRWEから再生可能エネルギー電力の供給を受けることで基本合意したと発表した。BASFは生産の脱炭素化に取り組んでおり、化石燃料を再生エネなどに置き換えていく考えだ。同社のマルティン・ブルーダーミュラー社長とRWEのマルクス・クレッバー最高経営責任者(CEO)は共同声明で「我々は炭素中立の化学産業実現を電化とCO2フリーの水素の投入を通して加速する」と強調した。

BASFは2050年の炭素中立実現に向け、二酸化炭素(CO2)の排出量を30年までに18年比で25%削減する目標を掲げている。製品1単位当たりの排出量を50%引き下げる考えだ。

CO2排出量を削減するためには石油など化石燃料の使用量を減らす必要があり、基礎化学品の生産に用いるスチームクラッカーについては、熱源を再生エネに切り替える技術を共同開発することでプラント大手のリンデなどと3月に合意した。

水素も活用する。水素の生産では大気中にCO2が排出されない技術を投入する考えで、電気分解とメタン熱分解を念頭に置いている。

これら脱炭素化の取り組みに必要となる再生エネをRWEから調達する。RWEは発電容量2ギガワット(GW)の洋上風力発電パークを設置。BASFに電力を供給する。クレッバーCEOは特定の産業顧客1社に給電することを洋上風力発電パーク計画に初めから組み込むことはドイツで初めてだと意義を強調した。

BASFはRWEからの再生エネ給電により、CO2排出量を年380万トン圧縮する。そのうち最大280万トンをルートヴィヒスハーフェン本社工場が占める見通し。

両社は規制枠組みの整備を今回のプロジェクト実施の前提条件としている。具体的には◇洋上風力発電パークの海域確保◇再生エネ助成分担金の負担対象から再生エネを除外する◇CO2フリーの水素生産の規制枠組み設定――が必要不可欠だとしている。給電開始時期は30年以降になる見通し。

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