ダイムラーの商用車子会社ダイムラー・トラックは20日、水素燃料電池トラックを欧州で普及させるためにエネルギー大手のシェルと協業すると発表した。燃料の水素を補給するためのインフラを整備。運送会社などが燃料電池トラックを安心して利用できるようにする。ダイムラー・トラックのマルティン・ダオム社長は「インフラと車両。両者は手を携えていかなければならない」と狙いを語った。
シェルはオランダのロッテルダムとドイツのケルン、ハンブルクを結ぶ地域に電気分解で製造したグリーン水素の供給スタンド網を構築し、2024年から大型トラック向けに営業を開始。ダイムラーも25年から大型の水素燃料電池トラックの量産を始める。30年には水素スタンド数を150カ所、ダイムラー製水素燃料電池トラックの普及台数を約5,000台へと拡大する。
水素補給のオープン標準の確立を目指す。ダイムラー・トラックは燃料に気体水素でなく液体水素を投入する方針を打ち出している。また、次世代液化水素補給技術の開発で工業ガス大手のリンデと協業することを昨年12月に取り決めていることから、同標準はこれらを踏まえたものになるとみられる。ダイムラーとシェルは両社の取り組みにさらなるパートナーを受け入れる意向だ。
両社は水素を燃料とするトラックを欧州で普及させるために昨年12月に立ち上げられた経済団体「H2 アクセラレート(H2Accelerate)」の設立メンバー。同団体にはイベコ、ボルボ・グループ、OMVも加盟している。
シェルはすでに欧州と北米で水素スタンド網を運営している。ダイムラー・トラックとの今回の協業により同スタンド網を拡大することになる。