フォルクスワーゲン―傘下のランボルギーニに買収の打診―

独フォルクスワーゲン(VW)グループの高級スポーツ車ブランドである「ランボルギーニ」の買収を、スイス企業クアンタム・グループが英投資会社セントリクスと共同で打診した。両社がVW側に送った趣意書をもとに業界紙『アウトモビルボッヘ』が5月26日、報じた。買収提示額は75億ユーロに上るが、VWは拒否の姿勢を示している。

クアンタムはVWのオーナー一族に近い投資家のレア・スターク・ラジッチ氏が設立した企業。同氏はVWの監査役会長を務めたフェルディナント・ピエヒ氏の息子、アントン・ピエヒ氏と2年前にスポーツ車ブランド「ピエヒ・オートモティブ」を設立している。

ランボルギーニをクリーンな駆動装置の看板に育て上げることを買収の狙いと説明している。趣意書では◇ランボルギーニの雇用を5年間維持するとともに、VWが同ブランドに送り込んでいる役員に引き取る◇ランボルギーニの買収後はVWと戦略パートナーシップを結ぶ◇VWの本社所在地ニーダーザクセン州に電池と電池セルの開発・生産会社を設立しクアンタム外部の企業とも協業する――意向を表明した。

VWのヘルベルト・ディース社長は昨年、ランボルギーニを手放す考えを表明したが、監査役会に拒否された経緯がある。同ブランドを統括するVWの高級車子会社アウディは「ランボルギーニは売りに出していない」として、買収提案に応じない考えを示した。

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