ダイムラーの乗用車子会社メルセデスベンツは5月24日、二酸化炭素(CO2)を排出しないグリーン製鉄のスタートアップ企業H2グリーン・スチール(H2GS)に資本参加すると発表した。H2GSに出資する乗用車メーカーは同社が初めて。メルセデスは自社製品の炭素中立(カーボンニュートラル)を2039年までに達成する目標を掲げており、その実現に向けてカーボンフリーの鉄鋼を2025年から量産モデルに投入する意向だ。
鉄鋼の生産ではこれまで石炭を蒸し焼きにしたコークスを還元剤として投入してきた。このため製品1トン当たり平均2トン以上のCO2が発生。地球温暖化の大きな原因の1つとなっている。還元剤を再生エネベースのグリーン水素に改めればCO2の発生を回避できることから、鉄鋼メーカーは技術開発を急いでいる。
メルセデスのセダンでは製品製造で発生するCO2総量の30%を鉄鋼が占めている。同社は鋼材生産でのCO2排出削減にサプライヤーと共同で取り組んでいく考え。
H2GSは20年の設立。カーボンフリーの鉄鋼を30年までに500万トン生産できるようにすることを目指している。スウェーデン北東部のボーデンとルーレオーに工場を建設する計画だ。