TUI―ホテル事業の軸足を運営に、不動産から撤退―

旅行大手の独TUIは5月27日、計21件のホテル不動産の資本49%を共同出資者であるスペインのリウ家に売却することで合意したと発表した。ホテル事業の経営資源をブランド、運営、販売に集中し、不動産所有からは撤退する戦略に基づく措置。独禁当局の承認を経て9月末までに取引を完了させる予定だ。

譲渡対象21件のうち19件は既存の施設で、残り2件は建設中。TUIは今回の取引により最大6億7,000万ユーロを取得する。まずは5億4,000万ユーロを確保。取引完了から2年間の業績を踏まえ最大1億3,000万ユーロが上乗せされる。売却益はコロナ禍で膨らんだ債務の圧縮に充てる。

TUIはコロナ禍前の2019年12月、ホテル事業で不動産を手放し経営資源を運営などに絞り込む戦略を打ち出した。不動産を所有することで発生する投資コストを節約し、業績拡大を加速させることが狙いだ。ペーター・クリューガー取締役(ホテル出資戦略・M&A担当)は「顧客体験にとって重要なのはホテルのブランドと質だ。その土地や不動産を誰が所有しているかは何の意味を持たない」と説明している。

TUIはリウ家と長年に渡って提携している。今後も折半出資の合弁会社を通して世界19カ国のホテル100カ所を共同運営していく。

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