欧州連合(EU)の欧州委員会が温室効果ガス排出削減など環境保護に寄与するプロジェクトをめぐる公的支援に関するルールを改正し、加盟国が事業費を100%助成できるようにすることを検討している。年内の決定を目指しており、7日に意見募集を開始した。
改正するのはエネルギー、環境関連プロジェクトに対する公的支援のガイドライン。従来の再生可能エネルギー関連事業などに加え、新たにクリーンモビリティ、建物の省エネ化、生態系の多様性(バイオディバーシティ)といった分野もガイドラインの対象とし、加盟国の政府が事業費の100%を助成の形で負担できるようにする。
公的支援の手続きを簡素化する一方で、対象事業が目的に沿ったもので、助成が必要最小限かどうかを検証する仕組みを導入する。
EUは域内の温室効果ガス排出を2030年までに1990年比で55%減とし、50年までに実質ゼロにすることを目標に掲げている。欧州委は同目標の達成に向けて、各国政府がサステナビリティ(持続可能性)に特化した投資を後押しする必要があるとして、公的支援を制限するルールを緩和する。
意見募集と並行して加盟国と協議して調整を進める。年内の新ガイドライン採択を目指す。