「デカコーン」に該当するスタートアップ企業がドイツで初めて誕生した。プロセスマイニング分野で高い技術を持つセロニスは2日、投資家からの4度目の資金調達で同社の評価額が111億ドルに達したことを明らにした。
評価額10億ドル以上の未上場スタートアップは「ユニコーン」と呼ばれる。デカコーンは投資家から将来性を極めて高く評価されたスタートアップで、評価額はユニコーンの10倍の100億ドル以上に上る。
セロニスはミュンヘンに本社を置く企業で、2011年に設立された。18年にユニコーンとなり、それからわずか3年でデカコーンにレベルアップした。
同社は人工知能(AI)を用いて全事業プロセスの最適化するプロセスマイニングを手がける企業。顧客企業は無駄とコストを削減できる。ドイツ銀行は同社のソフトウエアを用いて計40の事業プロセスを改善し、来年はコストを6,000万ユーロ以上、圧縮する予定だ。電気通信大手のドイツテレコムは二重支払いの回避と早期支払いによる割引で6,600万ユーロを削減した。セロニスの顧客リストにはシーメンス、ボッシュ、BMW、ルフトハンザなどのドイツ企業だけでなく、ABB、アストラゼネカ、コカ・コーラ、シティバンク、ロレアルなど国外の世界的な企業も名を連ねる。
今回の資金調達では既存と新規の投資家から総額10億ドルを確保した。実行管理システム(EMS)の改良とその販売・サービス網の拡充を図る。
同社の従業員数は現在1,300人強。ライセンスやサービス料金で安定的に得られる経常収益など財務データは一切、公表していない。