建設業界で建材不足が深刻化している。Ifo経済研究所のアンケート調査によると、「必要な時に建材を調達できない」との回答は建築事業者で5月に43.9%に達し、東西ドイツ統一後の最高を更新した。3月は同5.6%、4月は23.9%となっており状況が急速に悪化していることが分かる。土木事業者でも4月の11.5%から約3倍の33.5%へと拡大した。
建材売買の仲介プラットホームを運営するボビーのアレクサンダー・グラン社長が『フランクフルター・アルゲマイネ』に明らかにしたところによると、現在発注しても9月にならないと納入されない建材もある。価格も急上昇しており、発泡スチロールは昨年9月の2倍、配向性ストランドボード(OSB)も1.7倍に上る。買いだめを行う事業者もあることから品不足は一段と悪化している。
供給不足は特に樹脂製品で深刻だ。他国に先駆けて景気が回復した中国の樹脂加工業者が原料を早い時点で大量に買い占めたうえ、今冬の寒波に伴う米テキサス州の大規模停電で現地の化学プラントが軒並み操業停止に追い込まれたことが背景にある。世界経済の回復で樹脂は自動車や包装材など他の業界でも需要が急増しており、状況は厳しい。グラン社長によると、供給不足は樹脂製排水管で最も深刻という。
ドイツの昨年の樹木伐採量は干ばつを受けて過去最高を更新した。それにもかかわらず木材が不足しているのは、中国と米国の事業者が大量に買い付けているため。米国では建築用木材の価格がドイツの3倍以上に上るという。
建材不足を受け、作業の中断に追い込まれる建設現場が今夏にも大量に出てくることが懸念されている。好景気の建設業界で多くの被用者が操短手当の受給に追い込まれる可能性がある。