ドイツ連邦統計局が15日に発表した5月の消費者物価統計の詳細によると、前年同月比のインフレ率は速報値と同じ2.5%で、9年8カ月来の高水準に達した。エネルギーの上げ幅が前月の7.9%から10.0%へと上昇したことが最大の押し上げ要因。エネルギーを除いたインフレ率は1.8%にとどまった。
エネルギーの上げ幅が大きかったのは、世界経済の回復で原油価格が上昇しているうえ、今年1月に交通と建築物部門で炭素の有償化制度が始まったためだ。比較対象の2020年5月はコロナ禍で価格水準が極めて低かったことから、その反動も大きい。石油製品が全体を強く押し上げており、灯油は上げ幅が35.4%、自動車燃料は同27.5%に達した。天然ガスは同2.2%で、電力は0.1%下落した。
食料品は1.5%上昇したものの、上げ幅は前月の同1.9%を下回った。食肉・肉製品(+1.4%)、野菜(+1.1%)、果物(+0.7%)は上昇率が比較的小さい。エネルギーと食料品を除いた基礎インフレ率は1.9%だった。
他の分野の物品で上げ幅が大きかったのは「植物・花」と「自転車・電動アシスト自転車」、たばこ製品で、それぞれ7.6%、4.2%、3.9%に上った。電話機は6.9%下がった。
物価に占める比重が53%に上るサービスは2.2%上昇し、上げ幅は前月を0.6ポイント上回った。金融サービスは5.6%、娯楽・余暇・文化は3.6%それぞれ高くなった。電気通信サービスは1.4%低下した。
前月比のインフレ率も速報値と同じ0.5%だった。エネルギーが0.6%上昇。灯油は4.0%高くなった。生鮮野菜が4.6%下がったこともあり、食料品は0.3%低下した。
欧州連合(EU)基準のインフレ率は前年同月比が2.4%、前月比が0.3%で、こちらも速報値と変わりがなかった。