スウェーデンのリチウムイオン電池メーカー、ノースボルトは9日、独自動車大手フォルクスワーゲン(VW)などから新たに27億5000万ドルを調達したと発表した。電気自動車(EV)の普及に伴う需要拡大に対応するため、生産能力の引き上げなどに調達資金を充てる。
ノースボルトは米テスラ調達部門出身の元幹部が2016年に立ち上げたスタートアップで、VWや独BMWなどが出資している。今回の資金調達ラウンドにはVWや米ゴールドマン・サックスなどの既存株主に加え、スウェーデンの4つの公的年金基金(AP基金)、カナダのオンタリオ州公務員年金基金(OMERS)などが参加した。
VWは19年、ノースボルトに約9億ユーロ出資し、同社の株式約20%を取得した。VWは今回、6億2,000万ドルを追加出資すると発表しており、引き続き20%前後の出資比率を維持する。同社は3月、ノースボルトとおよそ140億ドル分の調達契約を結んでいる。
ノースボルトは今回の調達資金を利用して、年内に本格稼働する北部シェレフテオ工場の生産能力を40ギガワット時(GWh)から60GWhに引き上げる。同社はVWとの合弁で、ドイツ北西部ザルツギッターに大規模な電池工場の建設を進めており、両工場を合わせた生産能力は年間100GWhに達する見通しだ。
ノースボルトは今回さらに、30年までに欧州の少なくとも2カ所に工場を建設する計画を打ち出した。欧州の大手自動車メーカーは現在、中国の寧徳時代新能源科技(CATL)や韓国のLG化学などから電池を調達している。ノースボルトは30年までに欧州での生産能力を年間150GWhに引き上げ、アジア勢に対抗して25%のシェア獲得を目指すとしている。