独バイオ医薬品企業キュアバックは16日、同社が開発している新型コロナウイルス用ワクチンの治験中間報告を発表し、有効率が47%にとどまることを明らかにした。英国株やデルタ株(インド株)などの変異株が感染の主流となっていることが響いたもようだ。
同社は伝令RNA(mRNA)ベースのワクチン「CVnCoV」を開発している。接種を計2回、行う必要がある。ラテンアメリカと欧州の計10カ国で4万人を対象に治験の最終段階に当たる第2b/第3相臨床試験を実施した。
今回の中間報告では、2回目の接種完了から2週間が経過した参加者のうち感染が確認された134人について分析を行っている。それによると、伝染力や重症化率が高く、ワクチンの効果も落ちる「懸念される変異株(VOC)」が感染者全体の57%を占めた。また、これまであまり研究されていない変異株も多かった。従来株の割合は極めて低い。
独ビオンテック/米ファイザー連合と米モデルナが開発したmRNAワクチンは治験での有効率がともに90%を超えた。ウイルスベクターを用いた英アストラゼネカのワクチンも76%に上る。CVnCoVの有効率がこれらの製品に比べ大幅に低いのは、従来株を念頭に開発してきたことが一因とみられる。治験の最中に出現した様々な変異株には効果が弱い可能性がある。
変異株の種類が増えれば増えるほど、ワクチンの効果が弱まるリスクは早い時点で認識されており、キュアバックは2月、新型コロナの次世代ワクチンを英製薬大手グラクソ・スミスクライン(GSK)と共同開発することを明らかにした。7-9月期中に治験を開始。当局の承認を得て来年にも上市する目標だ。フランツヴェルナー・ハース社長は新たな変異株が次々と出現していることを踏まえ、「第2世代ワクチンの開発は極めて重要だ」と強調した。
同社はCVnCoVの治験結果の分析を最後まで行う。ハース社長は「最終的な有効率は変わるかもしれない」と期待を示した。ただ、ビオンテック/ファイザー連合のワクチンなど変異株に対しても効果の高い製品がすでに存在することから、仮に当局の承認を得たとしても需要は小さいとみられる。