欧州連合(EU)の欧州委員会は8日、ディーゼル車の排気ガスに含まれる窒素酸化物(NOx)を浄化するために用いるアドブルー(尿素水溶液)のタンクの分野で独自動車大手ダイムラー、フォルクスワーゲン(VW)グループ、BMWが違法なカルテルを結んでいたとして、VWとBMWに総額8億7,518万9,000ユーロの制裁金支払いを命じたと発表した。ダイムラーは最初に通報し調査に協力したことから制裁を全額、免除された。
VWと同子会社のアウディ、ポルシェ、およびBMW、ダイムラーの5社は2009年6月25日から14年10月1日まで5年以上に渡って、アドブルータンクの大きさを小さくすることを取り決めていた。また、競争上重要な情報を交換し、競争が生じないようにしていた。容量サイズを小さくしたのは、大きいとコストがかさむため。
欧州委のマルグレーテ・ベステアー上級副委員長(競争政策担当)は声明で、「乗用車の走行がもたらす環境負荷を低減するための競争と技術革新は、欧州グリーンディールの野心的な目標実現にとって決定的に重要な意味を持つ」と指摘したうえで、5社は排ガス浄化装置が持つ技術的なポテンシャルを、法定基準を超えて引き出すための競争を回避したと批判した。
制裁金の額はVWグループが5億236万2,000ユーロ、BMWが3億7,282万7,000ユーロ。VWグループは欧州委への通報により制裁額を45%、和解に応じたことにより同10%引き下げらた。BMWも和解に応じたことから10%の免除を受けた。
欧州委はガソリン直噴車が排出する粒子状物質(PM)を浄化するための微粒子捕集フィルター(GPF)の分野でも5社が違法なカルテルを結んでいた疑いがあるとして調査を進めてきたが、十分な証拠がないことから打ち切った。