ラシェット首相候補が減税否定発言、姉妹政党はけん制

連邦議会で統一会派を組むキリスト教民主同盟(CDU)とキリスト教社会同盟(CSU)の間にすきま風が吹き始めた。きっかけは両党のアーミン・ラシェット共同首相候補(CDU党首)が11日のテレビ番組で行った発言だ。現時点で減税の余地はないと断言したのである。

CDUとCSUは6月下旬に公表した選挙プログラムで、コロナ禍で膨らんでいる歳出を減らし均衡財政を速やかに回復するとともに、企業と市民の税負担を軽減する方針を打ち出した。炭素中立の実現やデジタル化の促進に向けて富裕層への増税や新規債務の拡大を表明する競合、緑の党とは真っ向から対立する内容だ。

ラシェット候補は選挙プログラムの公表から1カ月も経たないうちに減税方針を翻したことから、CSUからはけん制の声が出ている。CSUのマルクス・ゼーダー党首は13日の『南ドイツ新聞』のインタビューで、「税負担の軽減は我々の税制政策の核心だ」と明言。企業の税負担率を段階的に25%まで引き下げることや連帯税の全廃、デジタル・温暖化防止関連投資の減価償却優遇などの実現に意欲を示した。

ドイツ西部を襲った歴史的な洪水被害を受けて、CDU/CSUの減税論議は現在、棚上げとなっている。ラシェット氏は被災地ノルトライン・ヴェストファーレン州の首相であり、当面は洪水問題に追われる見通し。CSUは議論再開の適切な機会が来るのを待たざるを得ない状況だ。

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