中国向け輸出が約1年ぶりに減少

ドイツの対中国輸出高が7月は前年同月比3.9%減の84億ユーロ(暫定値)となり、11カ月ぶりに縮小したことが、連邦統計局が8月25日に発表したデータで明らかになった。減少幅はコロナ禍で中国経済が低調だった昨年5月以来の大きな規模。独商工会議所連合会(DIHK)のフォルカー・トライヤー貿易部長はロイター通信に、「中国はコロナ危機のなかで世界の景気のけん引車だった」と指摘したうえで、同国経済の減速は貿易依存度の高いドイツ経済の懸念材料だと述べた。

自動車業界の半導体不足が対中輸出減少の一因となった。中国での新型コロナウイルス感染の再拡大に伴う制限措置と洪水被害も景気の足かせとなっている。

コメルツ銀行のエコノミストは、金融政策の引き締めと国の景気対策の縮小を背景に中国からの需要は勢いが弱まっていると指摘。この傾向は下半期も続くとの見方を示した。

欧州連合(EU)域外への7月の輸出高は前年同月比5.8%増の528億ユーロへと拡大した。最大の仕向け先である米国が15.3%増の108億ユーロと大きく拡大。英国も5.6%増の58億ユーロと好調だった。ロシアは17.7%増えて24億ユーロとなった。

一方、アジア向けは低調で、韓国は6.8%減の15億ユーロへと後退。日本も1.6%減の14億ユーロに落ち込んだ。インドは1.0%減の9億ユーロ、トルコは7.8%減の17億ユーロだった。

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