社民の優位が一段と強まる、有権者の最重視テーマで高評価

今月26日に行われる独連邦議会選挙で中道左派の社会民主党(SPD)が第一党となる可能性が高まってきた。調査公共放送ZDFが3日発表した最新の有権者アンケート調査(世論調査機関ヴァーレンが実施)結果によると、SPDの支持率は前週調査を3ポイント上回る25%となり、これまでに引き続き大幅に拡大。中道右派の競合キリスト教民主・社会同盟(CDU/CSU)が横ばいの22%にとどまったことから、トップに躍り出た。SPDが同調査で支持率1位になるのは2002年9月以来で実に19年ぶり。9月に発表された他のアンケート結果でもSPDの優位は明確になっている。オーラフ・ショルツ首相候補の高い人気のほか、社会的な公正を重視する有権者が多いことが追い風になっているもようだ。

ヴァーレンの調査ではショルツ氏が「首相に適している」との回答が70%に達し、前回を5ポイント上回った。CDU/CSUの首相候補ラアーミン・シェット氏(横ばいの25%)と緑の党の首相候補アンナレーナ・ベアボック氏(1ポイント増の23%)を一段と引き離している。

「次期首相に一番なってほしいのは誰ですか」との質問でもショルツ氏は4ポイント増の53%を記録。ラシェット氏(18%)、ベアボック氏(14%)との差を広げた。

今回のアンケートでは投票に際して重視するテーマを質問した。最も回答が多かったのは「社会的な公正」で51%を記録。これに「温暖化防止」が39%、「コロナ」が23%、「難民」が21%で続いた。

「社会的な公正の分野で最も有能なのはどの政党だと思いますか」との質問ではSPDとの回答が断トツで多く、43%に上った。CDU/CSUは12%、左翼党は9%、緑の党は8%にとどまった。

SPDは2000年代前半に同党のシュレーダー首相(当時)が雇用の不安定化や低所得層の拡大につながる構造改革を断行したことをきっかけに多くの有権者が離反。支持率の長期低落が続いていた。今回の調査でSPDの本領とも言える社会的公正の分野で高い評価を受けたことは、同党に対する有権者の信頼回復をうかがわせる。

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