シーメンス―エジプト初の長距離電化路線、紅海~地中海間に敷設―

電機大手の独シーメンスは1日、同社を中心とするコンソーシアムがエジプトのトンネル公社(NAT)に包括的な鉄道システムを納入することで合意したと発表した。エジプト初の長距離電化路線で、旅客列車と貨物列車がともに走行。同国の経済発展や二酸化炭素(CO2)排出削減に寄与すると見込まれている。

エジプト政府は高速列車が走行できる総延長1,800キロメートルの電化路線敷設を計画している。シーメンスなどが今回受注したのはそのうちの660キロで、紅海の港湾都市アイン・スクナと地中海のメルサマトルー、アレクサンドリアを結ぶ区間。シーメンスは高速列車「ヴェラロ」、ローカル線用列車「デジロ・ハイキャパシティ」、貨物列車用けん引車「ベクトロン」、列車制御システム「ETCS(レベル2)」、信号システムを納入するほか、15年間のメンテナンスサービスを引き受ける。コンソーシアムに参加する他の企業(現地建設大手オラスコム・コンストラクションとアラブ・コントラクターズ)は鉄道の敷設を引き受ける。受注総額は約45億ドルで、そのうちおよそ30億ドルをシーメンスが占める。

シーメンスによると、エジプトが計画する1,800キロの路線の残りの区間についても同社は現在、受注交渉を進めており、数カ月以内に成約する見通し。

今回受注した区間が完成すると、移動時間は最大50%短縮され、通勤などの利便性が向上。スエズ運河を補完する物流ルートが創出されることもあり、経済発展につながる可能性がある。乗客は年3,000万人を超えると見込まれている。CO2排出量は乗用車やバスを利用する場合に比べ70%削減される。