グーグル―過去最大の対独投資へ、データセンター拡充で―

米IT大手グーグルは8月31日、2030年までにドイツに10億ユーロ以上を投資すると発表した。同社の対独投資では過去最大。クラウドサービス事業強化方針の一環として同国でデータセンターを拡充するとともに、その電力をすべて再生可能エネルギーで賄えるようにする。

同社はクラウド分野で競合アマゾン、マイクロソフトに水をあけられている。追い上げに向けて19年に米オラクルからトーマス・クリアン氏を引き抜き、クラウド部門の最高経営責任者(CEO)に抜擢した。

同CEOが打ち出した企業向けサービスの強化方針は奏功。ドイツでもルフトハンザ航空、ドイツ銀行、エーオン(エネルギー)、オットー(通販)など大手顧客を獲得している。需要をさらに掘り起こすために、ドイツのデータセンターを増やしていく。

まずはフランクフルト近郊のハーナウに新しいデータセンターを開設する。首都ベルリンも需要が大きいことから、同市と隣接するブランデンブルク州にも設置する意向だ。顧客の拠店近くに設けることでデータ送信の遅延を回避する。

再生エネは仏エネルギー大手エンジーの独子会社とPPA(電力調達契約)を結んで確保する。両社は30年までにソーラーと風力の発電能力で計140メガワット(MW)以上を構築。グーグルの独データセンターの電力をすべて再生エネで賄えるようにする。

IT大手は近年、グリーン電力の調達に注力している。世界の二酸化炭素(CO2)排出量の4%をデジタル業界が占めているためだ。航空業界よりも多く、10年後には8%に拡大すると予想されている。環境保護団体などからの批判が強まり、ブランドイメージに大きな傷がつく恐れがある。アマゾンはすでにデータセンターの電力の半分を原子力・石炭発電から再生エネへと切り替えた。

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