欧州の超小型衛星打上げ機メーカー4社は7日、ドイツで建造・運営が計画されている洋上浮体式打ち上げプラットホームを利用することで基本合意した。超小型衛星市場は将来の大幅成長が見込まれており、独政財界は自国に打ち上げ施設を確保することでエコシステムを構築。資金力の弱いスタートアップ企業などが手軽に衛星を打ち上げられるようにする狙いだ。
浮体式打ち上げプラットホームの建造・運営を目指す独コンソーシアム「ジャーマン・オフショア・スペースポート・アライアンス(GOSA)」と、超小型衛星打上げ機製造の独ロケット・ファクトリー、ハイインパルス、蘭T-マイナス、英スカイローザの4社はペーター・アルトマイヤー経済相が立ち会うなかで趣意書を締結した。
GOSAは航空宇宙分野の有力メーカーであるOHB、物流企業BLGロジスティクス、保険会社ランペ・ウント・シュヴァルツェ、海運会社ハレンの独4社が設立した。浮体式プラットホームを建造して北海にあるドイツの排他的経済水域で超小型衛星を打ち上げることを計画している。
衛星を海上で打ち上げるのは、国内の陸地を利用することが法的にみてほぼ不可能なため。海上であればチャンスがあるとみており、今後は経済省の資金支援を受けて実現可能性調査を実施する予定だ。法律・規制上のハードルをクリアできるかどうかが焦点となる。
陸上に比べ規制は緩いものの、船舶や洋上風力発電パークの安全性を確保しなければならず、実現は簡単でない。環境保護団体が抗議活動や提訴を行うのはほぼ確実なため、当局の承認を得たとしてもその後の道のりは険しい。
超小型衛星の打ち上げ場がドイツにあることは国内企業にとって大きな意味を持つ。国外で打ち上げると物流コストがかさむうえ、デュアルユース技術に該当することから輸出許可を取得しなければならないためだ。
契約調印に立ち会った独産業連盟(BDI)のジークフリート・ルスヴルム会長は、「北海の打ち上げプラットホームはニュースペース(民間の手による宇宙開発)のバリューチェーンにとって重要だ。特にスタートアップと中小企業は簡単かつ柔軟な宇宙へのアクセスの恩恵を受ける。打ち上げプラットホームは独・欧州でニュースペースのエコシステムを持続的に強化する」と明言した。政府に対し強力なサポートを求めている。