ニュルブルクリンク売却審査見直しへ、EU裁判決で入札仕切り直しの可能性

サーキットを中心とする独ラインラント・ファルツ州有の複合施設、ニュルブルクリンクの売却入札結果を欧州連合(EU)の欧州委員会が承認したのは不当として入札で敗れた企業などが無効確認を求めていた係争で、EU司法裁判所(EJC)は2日、訴えを部分的に認め、欧州委の同承認決定を無効とする判決を下した。同委に対し審査の見直しを命令しており、その結果次第ではニュルブルクリンクの売却入札が仕切り直しとなる可能性が出てきた。

ニュルブルクリンクはF1をはじめとする数多くの自動車レースが行われる世界的に有名なサーキットだが、赤字続きだったことから運営会社は2009年に遊園地やホテル建設を柱とする再開発に着手。これが裏目に出て経営が急速に悪化し、12年に経営破綻した。

州政府はこれを受けニュルブルクリンクの売却入札を実施し、独中堅自動車部品メーカーのカプリコーンが7,700万ユーロで落札した。欧州委は14年10月1日に入札結果を承認した。

これに対し入札に敗れた米企業ネグゾベーションなどは、入札は不透明で差別的だったと批判。欧州委決定の無効確認を求めて提訴していた。

第一審裁判所は原告の訴えを棄却したものの、EU司法裁は第一審裁の判決を破棄した。判決理由でEU司法裁の裁判官は、ニュルブルクリンクの売却入札では売却先の資金力が選定基準の1つだったことを指摘。欧州委はカプリコーンがドイツ銀行の融資保証を受けていたと認定しが、実際には同行から融資の確約を得ておらず、欧州委のこの認定は不当だと言い渡した。また、カプリコーンを大幅に上回る買収額を提示していたネグゾベーションが売却先に選定されなかったことは、入札が差別的に行われた疑いを持たせるとの判断を示した。

カプリコーンは資金力不足のため、ニュルブルクリンクの持分を14年10月末にロシアの富豪へと売却している。

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