独ハンブルク港運営会社HHLAは21日、海運大手の中国遠洋海運集団(COCOS)が同港に戦略出資することで合意したと発表した。対中貿易のハブ拠点としての地位を強化する狙い。カルテル法と貿易法上の審査で承認を受けることが取引完了の条件となる。
COCOSの港湾物流子会社である中遠海運港口(CSPL)がハンブルク港トラーオルト・コンテナター埠頭(CTT)に35%出資する。出資額は非公開。同コンテナは欧州におけるCOCOSの荷物積み替えの「優先ハブ(preferred hub)」となる。
CTTはハンブルク港に計3つある埠頭の1つで、係留施設4カ所、ガントリークレーン14基を備える。計5本の線路で後背地とつながっている。
ハンブルク港の貨物取扱量に占める中国貿易の割合は約30%と断トツで多い。CTTにはCOSCOの貨物船が定期的に寄港している。COSCO以外の船舶はCSPLの出資後も同埠頭を利用できる。
COSCOは中国政府が世界の覇権を握るために推進する「一帯一路」プロジェクトの主要な担い手で、2017年にはギリシャのピレウス港湾公社の株式67%を取得した。ハンブルク港への出資にも地政学的な狙いがあると懸念されている。このため、ドイツ政府が貿易法上の審査で承認するかどうかは定かでない。