BMW―グリーン製鉄のH2GSから鉄鋼調達―

高級乗用車大手の独BMWは20日、二酸化炭素(CO2)の排出量を大幅に低減したグリーン製鉄のスタートアップ企業H2グリーン・スチール(H2GS)から鉄鋼を調達することで合意したと発表した。サプライチェーンの脱炭素化を加速する考え。競合ダイムラーもH2GSからの調達を決めるなど、H2GSは欧州自動車業界のCO2排出削減で存在感が大きくなっている。

鉄鋼の生産ではこれまで石炭を蒸し焼きにしたコークスを還元剤として投入してきた。このため製品1トン当たり平均2トン以上のCO2が発生。地球温暖化の大きな原因の1つとなっている。還元剤を再生可能エネルギー電力ベースのグリーン水素に改めればCO2の発生を大幅に削減できることから、鉄鋼メーカーは技術開発を急いでいる。

H2GSは2020年設立のスウェーデン企業で、従来品に比べCO2排出量が95%少ない鉄鋼を同国北部のノールボッテン県で生産する計画。同地は風力が強く水力発電にも適していることから、同社はこれら再生エネベースの電力で水素を作り、鉄鋼を生産する。

BMWは調達する鉄鋼の製造工程で排出されるCO2を30年までに年およそ200万トン減らす目標を掲げている。その実現に向けた取り組みの一環としてH2GS製の鉄鋼を25年から購入する意向だ。

両社は鉄鋼リサイクルで協業することも取り決めた。H2GS はBMWのプレス工場で発生する板金の残材を引き取り、コイルへと再加工する。リサイクル製品は天然資源から作る鉄鋼に比べCO2排出量が50~80%少ないことから、温室効果ガスの排出削減につながる。

BMWの車両に投入されるリサイクル鉄鋼の割合は現在、少ないもので20%、多いもので100%に上る。同割合を今後さらに高めていく考えだ。

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