工作機械大手の独トルンプが10月26日発表した2021年6月通期決算の売上高は35億ユーロとなり、前期を0.5%上回った。中国事業が50.7%増の5億2,500万ユーロと大幅に拡大。全体が強く押し上げられた。同国は米国(売上高4億8,500万ユーロ)を抜きドイツ本国(同5憶7,900万ユーロ)に次ぐ2番目に大きな販売市場に浮上。米中の対立が深まるなかで事業の先行きに懸念が出ている。ニコラ・ライビンガーカムミュラー社長は「(中国市場からの)撤退という選択肢はない」と述べ、デカップリングが起きても対応できるようにする意向を表明した。
中国事業担当役員は、同国は政治的に正しくない方向に向かっているうえ、規制や制限が増えていると指摘。そのうえで「できる限り中国企業と認識されるよう努め、可能な限り多くの現地サプライヤーを利用する」考えを示した。
21年6月期の営業利益(EBIT)は19.5%増の3億7,000万ユーロへと拡大した。コスト削減と生産性の向上、製品ミックスの変更が奏功した。売上高営業利益率は前期の8.9%から10.5%へと上昇している。
新規受注高は19.7%増え過去最高の39億ユーロに達した。
同社はオランダ売上高が欧州最大の4億6,000万ユーロに上ったことも明らかにした。蘭ASMLの新世代半導体製造装置向けに、半導体チップの表面を極端紫外線(EUV)で加工するためのレーザー装置を供給していることで水準が強く押し上げられている。