義務や規律違反の社員にどの処分を下すべきかは、雇用主が頭を悩ませる問題であろう。社内に示しをつけなければならないだろうし、情が働くこともあるだろう。法律的には過度の処分は認められず、裁判になれば敗訴することになる。今回はタイムカードの規律違反を巡る係争で、ラインラント・ファルツ州労働裁判所が下した判決(訴訟番号:8 Sa 361/20)を取り上げてみる。
裁判は大学病院の財務課長が雇用主を相手取って起こしたもの。同課では2019年12月18日午前10~12時の2時間、病院内のミーティングルームを利用してクリスマスパーティーが開かれた。原告はその際、パーティーの時間を勤怠管理システムで勤務時間外としていなかったことから、被告は即時解雇を通告。念のために解雇予告期間を設定した通常解雇も通告した。
原告はこれを不当として提訴し一審で勝訴。二審のラインラント・ファルツ州労裁は8月の判決で一審判決を支持した。判決理由で裁判官は、原告がパーティーの間、仕事をしていなかったことを理由にパーティーは私的な性格のものだったと断定。パーティーの時間を勤務時間外と申告しなかった原告の行為は民法典(BGB)626条1項に記された即時解雇の「重要な理由」に該当すると指摘した。ただ、原告が勤怠管理で不正を行ったのは今回が初めてであり、処分は警告が妥当だったとして、解雇は行き過ぎた処分だと言い渡した。
最高裁の連邦労働裁判所(BAG)への上告は認めなかった。