EUのワクチン接種証明、有効期間9カ月に

欧州連合(EU)の欧州委員会は11月25日、EU共通の新型コロナウイルスワクチン接種証明書について、有効期間を9カ月間とすることを提案した。欧州でコロナ感染が急拡大するなか、免疫力が低下した人が域内を旅行するのを制限するのが目的。有効期限が設けられることで、追加接種(ブースター)を受けないと証明書が失効することになる。加盟国の承認を得、来年1月10日からの適用を目指す。

EUでは7月、各国が「EUデジタルCOVID証明書」と呼ばれる共通証明書をワクチン接種者やPCR検査で陰性の人、コロナに感染して快復した人に発行し、証明書を持つ人が、入国時のPCR検査、入国後の一定期間の隔離なしに域内を自由に移動できるようにする制度の運用が正式に開始された。これまで有効期間は定められていなかった。

期限を設けるのはワクチン接種の証明。接種を終えてから9カ月間に限って有効とする。EUでは接種完了が2021年4~9月に集中したことから、追加接種を受けなければ無効となるケースが22年初めには多く出てくる。

欧州委はEUの欧州疾病予防管理センター(ECDC)が24日、域内の全成人を対象とする追加接種を行うよう勧告したことを受け、同措置を提案した。ECDCは6カ月の間隔を空けて追加接種するよう推奨しているが、欧州委は各国の準備に時間がかかることを考慮し、有効期間を9カ月とした。

EUでは一部の国が追加接種を行っている。欧州委は証明に有効期限を設けることで、他の国にも追加接種を促す形となる。追加接種によって有効期限をどの程度延長するかについては、判断に必要となるデータが現時点でないため、検証を進めたうえで決定する。