ドイツ政府は13日、第2次補正予算案を了承した。コロナ禍対策として今年度予算で設定した新規債務枠2,400億ユーロのうち未使用の600億ユーロを国の「エネルギー・気候基金」に振り向け、来年度以降に使用するというもの。これに対しては本来の目的とは異なる分野への用途変更で違憲だとの批判があるものの、クリスティアン・リントナー財務相(自由民主党=FDP)は、温暖化防止とDX(デジタルトランスフォーメーション)へと投資を加速することで、コロナ禍の経済的な打撃を克服できるとして、憲法上の問題はないと強調した。
8日に発足した社会民主党(SPD)と緑の党、FDPの3党からなる新政権は温暖化防止とDXを重点課題に設定している。これに必要な資金を緑の党は増税と新規債務の拡大で賄うと主張。小さな政府を標榜するFDPが正面から反対したことから、今年度新規債務枠の未使用分を転用するという形で妥協が成立した。
補正予算案は連邦議会で可決される見通し。ただ、野党のキリスト教民主・社会同盟(CDU/CSU)は違憲訴訟を起こす意向を表明しており、先行きは不透明だ。