独バイオ医薬品企業ビオンテックと米製薬大手ファイザーは8日、両社が共同開発した新型コロナウイルスワクチン「BNT162b2」のブースター接種(3回目の接種)を受ければ、新変異株「オミクロン」に対しても高い効果が得られるとの暫定見解を発表した。従来の2回接種についても感染防止効果は弱いものの、重症化を防ぐことはできるとしている。オミクロン株に対応した新ワクチンの開発をすでに開始しており、必要があれば来年3月末までに出荷を開始できる見通しだ。
オミクロン株は細胞に侵入する際のカギとなるスパイクタンパク質の変異が従来の変異株に比べ極めて多く、感染力は現在主流のデルタ株を上回るとみられている。ただ、ブースター接種を受けると、中和抗体の水準が2回接種に比べ25倍に高まることから、高い予防効果が期待できる。
両社はオミクロン株対応ワクチンの生産を行っても、BNT162b2を2022年に計40億回分、生産するとした計画を変更しないとしている。
BNT162b2はこれまで、2回の接種で接種完了とみなされてきた。ドイツのカール・ラウターバッハ新保健相は両社の発表を受け、今後は3回の接種を受けた場合にのみ接種が完了したことになるとの見方を示した。