追加接種完了者は陰性証明義務免除に、2Gプラス適用地域で

ドイツのカール・ラウターバッハ保健相と国内16州の保健相は14日のテレビ会議で、新型コロナウイルスワクチンの追加(ブースター)接種を完了した人が「2Gプラス」ルールの適用対象となっている施設に入ったりイベントに参加する場合は陰性証明の提示義務を免除することを決議した。追加接種の完了者は自らが感染するリスクと他人を感染させるリスクがともに低いとする専門家の指摘を踏まえた措置。2Gプラスルールと職場の「3G」ルール導入を背景とするコロナ検査需要の急増でひっ迫している国内検査機関の負担を軽減する狙いだ。

2G、3Gはコロナ規制の一環で今夏から導入されているルール。Gは「Geimpfte(ワクチン接種完了者)」「Genesene(コロナ感染からの快復者)」「Getestete(検査で陰性を証明された人)」を指す。3Gルールの店舗や施設、イベントでは接種完了証明、快復証明、陰性証明のいずれかの提示が義務付けられる。2Gルールが実施されている場合は有効な証明書が接種完了証明と快復証明に制限されることから、そのどちらも持たない「未接種者(Ungeimpfte、感染からの快復者で接種を受けていない人はこのカテゴリーに含まれない)」は入店やイベント参加ができなくなる。小売店の大半とスポーツ、娯楽、文化の大型イベントには現在、ニーダーザクセンを除くすべての州で2Gが適用されている。未接種者が利用できる小売店は食料品や医薬品など生活必需品を取り扱う店舗に限られる。

2Gプラスは2Gよりも規制度の高いルールで、接種完了者と快復者に対して陰性証明の提示を義務付けるというものだ。感染状況が深刻な地域で適用されている。

2Gプラスの適用地域であっても追加接種完了者であれば陰性証明義務を免除するルールはすでにバーデン・ヴュルテンベルク、ラインラント・ファルツなど一部の州で実施されていた。今回の保健相会議ではこれを全国に拡大することを取り決めた。

ただ、医療・介護施設では追加接種完了者であってもこれまでに引き続き陰性証明の提示を義務付ける。可能性が低いとはいえ追加接種完了者も他人を感染させるリスクは排除できないためだ。介護施設などで集団感染が発生すると、多数の入居者が重症化したり死亡するケースが多いという事情を考慮した。

ドイツでは従来の変異株に比べて感染力の高い新変異株「オミクロン」の感染がすでに確認されている。英国などに比べると現時点で感染者数は少ないものの、1月には感染の主流になるというのが専門家の見方だ。それにも関わらず追加接種完了者の陰性証明免除を決議したことに対しては批判が出ている。保健相会議のクラウス・ホレチェク議長(バイエルン州保健相)はこれを踏まえ、「オミクロン株に関して新たな知見が得られた場合は本日の決議を見直す」考えを表明した。8週間以内に開催する次回の会議で協議するとしている。

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