メルク―バイオ医薬品の米社買収、mRNA事業強化へ―

ライフサイエンス大手の独メルクは6日、医薬品製剤開発・製造支援事業(CDMO)の有力企業である米エクセリード(Exelead)を買収することで合意したと発表した。将来性の高い伝令RNA(mRNA)分野で事業を強化する狙い。現金およそ7億8,000万ドルで傘下に収める。当局の承認を経て買収手続きが1-3月期中に完了すると見込んでいる。

mRNAベースの医薬品は新型コロナウイルスワクチンで初めて実用化された。従来のワクチンに比べ効果が高いなどメリットが大きいことから、ガンなどワクチン以外の分野への投入も期待されており、すでに多くの企業が開発を進めている。

メルクは新型コロナ用ワクチンを含むmRNA医薬品の製剤に欠かせない脂質ナノ粒子(LNP)の有力企業。近年はmRNAのバリューチェーン全体をカバーする総合的な事業体制を構築し、新製品の市場投入に要する時間を顧客企業が短縮できるようにすることを目指しており、昨年にはポリメラーゼ連鎖反応(PCR)をベースにmRNAを製造する技術を持つ独アンプテックを買収した。

エクセリードは米インディアナポリスに本社と工場を持つバイオ医薬品企業で、従業員数は200人強。LNPの分野で高いノウハウを持つことから、メルクは買収を決めた。