BMW―電動車充電スタートアップに出資―

高級車大手の独BMWは13日、電動車充電の独スタートアップ企業ヘイチャージ(HeyCharge)に資本参加すると発表した。ヘイチャージの技術を用いるとインターネットに接続できない場所でも充電と決済ができることから、将来性が高いと判断した。

ヘイチャージが行う総額470万ユーロの資金調達にリード投資家として応じる。BMWの出資額と出資比率は明らかにしていない。

住宅やオフィス、ホテルの地下駐車場ではインターネットに接続できないことが多い。ヘイチャージの共同設立者であるクリス・カーデ最高経営責任者(CEO)はミュンヘンにあるマンションの地下駐車場で電気自動車(EV)を充電しようとしたところ、電波が届かず充電できなかったことから事業アイデアを思い付いた。

欧州連合(EU)統計局ユーロスタットによると、集合住宅に住む市民の割合はEU全体で46%、ドイツでは56%に上る。電動車が今後、大幅に普及すると集合住宅やオフィスの地下駐車場などで充電設備を利用できないケースが数多く発生する可能性があり、ネットが利用できないそうした場所で充電とその決済を行えるようにすることの意義は大きい。

ヘイチャージはこの問題を解決するため「セキュアチャージ」という技術を開発した。近距離無線通信規格のブルートゥースを用いて専用アプリないしソフトウェア開発キット(SDK)から充電器に接続する。同社の充電器「アクセスポイント」と組み合わせて利用すると、ハードウエア、設置、通信、サービスの全コストを最大80%引き下げることができるという。同社は建造物の管理事業者などに売り込んでいく意向だ。

BMWベンチャーキャピタル部門の役員は「ヘイチャージは電動車のインテリジェントな充電をインターネット接続がなくても可能にした初めての企業だ。これはどんな場所でも充電ステーションを商業化するためのカギだ」と述べ、同社の技術を高く評価した。セキュアチャージ技術についてはすでに特許を申請済みだ。

ヘイチャージは電動車分野でキャリアを積んできた米国人のカーデ氏とドイツ人のロベルト・ラソフスキー氏が昨年、設立した。カーデ氏はソフトの専門家としてグーグルに勤務していたこともある。

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