欧州連合(EU)は21日、オンライン形式で臨時の保健相会合を開き、新型コロナウイルスワクチンの4回目の接種が必要になる事態に備えて準備を進める方針を確認した。感染力の強い変異株「オミクロン」が猛威を振るうなか、EU各国は接種完了者に対する追加接種を急いでいるが、さらに4回目接種の必要性を示すデータが得られた場合は速やかに実行に移せるよう、体制を整える。
欧州委員会のキリアキデス委員(保健衛生・食品安全担当)は会合で「4回目の接種が必要と判断するための決定的なデータが揃えば、すぐ行動を起こせるよう準備をしておかなければならない」と強調。そのうえで、EU内で人口の約4分の1が1度も接種を受けていない現状に触れ、こうした未接種者を減らす取り組みを最優先すべきだとの考えを示した。
オミクロン株が世界的に流行するなか、イスラエルは今月3日から60歳以上を対象に4回目の接種を開始した。ロイター通信によると、EU内ではこれまでにハンガリー、デンマーク、スウェーデンが4回目の接種を実施する方針を固めている。他の加盟国では接種完了(多くは2回)から追加接種までの間隔を短縮する動きが広がっているものの、4回目の接種に関しては判断に必要なデータが不足しているとして態度を保留している。
保健相会合では、オミクロンに特化した改良型ワクチンの必要性や共同購入の可能性などについても話し合われた。独ビオンテック/米ファイザー連合はすでに改良型ワクチンの生産に着手しており、早ければ3月にも供給可能となる見通し。ただ、既存ワクチンの追加接種(3回目)を受けることで重症化の予防効果を得られることが分かっており、欧州医薬品庁(EMA)はオミクロンに特化したワクチンが必要かどうかは現時点で「不明」としている。