EU域内の旅行ルール、統一運用へ

欧州連合(EU)加盟国は1月25日に開いた総務理事会で、新型コロナウイルス感染拡大を受けて導入した域内間の旅行に関するルールをめぐる新たな勧告を採択した。ワクチン接種などの証明書を持つ人の自由な移動を認める制度を軽視する国がある状況を解消し、同制度を2月から統一的に運用する。

EUでは2021年7月、各国が「EUデジタルCOVID証明書」と呼ばれる共通証明書をワクチン接種者やPCR検査で陰性の人、コロナに感染して快復した人に発行し、これらを持つ人が入国時のPCR検査、入国後の一定期間の隔離なしに域内を自由に移動できるようにする制度の運用が正式に開始された。

しかし、新型コロナの新変異株「オミクロン」の感染拡大を機に、イタリアやギリシャなど一部の国が、ワクチン接種を終えた人であっても入国時にPCR検査などでの陰性証明を提示することを義務付けるなど足並みが乱れ、共通証明書を導入した意味がなくなりつつある。このため、EUは加盟国の対応を統一する必要があるとして、12月から調整を進めていた。

総務理事会では、域内でワクチン接種が進み、接種証明書も普及していることから、各国が同制度を尊重することを確認。新型コロナ感染が深刻な国からの渡航者を除き、EUデジタルCOVID証明書を保有していれば入国時のPCR検査、隔離を求めないことで合意した。接種証明書の有効期間を9カ月間とするルールが発効する2月1日から実施する。

ただ、今回の決定に法的拘束力はなく、加盟国は独自の判断でワクチン接種者にも検査、隔離を求めることができる。

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