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2022/2/16

総合 - ドイツ経済ニュース

コロナ規制を3段階で緩和へ、非接種者も3月から店内飲食が可能に

この記事の要約

ドイツ政府と国内16州の政府は新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐための規制を3段階で緩和する。ショルツ連邦首相と州首相が16日に開催するテレビ会議の決議案(調整中)をもとに各種メディアが報じたもので、規制緩和の第3弾が実 […]

ドイツ政府と国内16州の政府は新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐための規制を3段階で緩和する。ショルツ連邦首相と州首相が16日に開催するテレビ会議の決議案(調整中)をもとに各種メディアが報じたもので、規制緩和の第3弾が実施される3月下旬からは「制約度の高い規制がすべて撤廃」される見通しだ。

決議案のたたき台は国の諮問機関である「新型コロナウイルス政府専門家委員会」の提言を踏まえて作成された。それによると、規制緩和の第1弾では小売店の入店制限が撤廃されるとともに、市民の私的な会合の人数制限が緩和される。

同国では12月初旬、小売店に入店できる人を新型コロナワクチンの接種完了者と感染からの快復者に制限する措置が導入された。これを受け、接種ないし快復証明を持たない非接種者はスーパーなど生活必需品を販売する店舗を除いて入店できなくなった。この規制は現在、大半の州で廃止されており、今回の会議ではこれを追認する形となる。

非接種者のいない私的な会合の参加人数は現在、10人が許容上限となっている。国と州はこれを緩和する方向。調整中の決議案では20人に引き上げることが記されているが、州によって意見の食い違いが大きいもようで、最終案では人数が変更される可能性がある。

3月4日からは規制緩和の第2弾が開始される。飲食店の入店規制は「2Gプラス」から「3G」へと緩和。非接種者も陰性証明を提示すれば店内で飲食できるようになる。現在はブースター接種を受けた人、および陰性証明を提示する接種完了者(2回の接種)・快復者しか店内飲食が認められていない。

イベント規制も緩和され、収容率の上限が屋内イベントで40%(最大4,000人)、屋外イベントで60%(同2万5,000人)となる方向。この数値も最終案で変更される可能性がある。

3月20日からは在宅勤務の義務など制約度の高い規制がすべて撤廃され、制限措置は屋内や公共交通機関でのマスク着用などベーシックなものに絞り込まれる。ただ、在宅勤務については感染拡大を防止するために好ましいとしており、業務上の支障がなければ継続が推奨される見通しだ。

接種義務法案の成立に遅れ

シュレスヴィヒ・ホルシュタイン州のダニエル・ギュンター首相はマスク着用義務についても早ければイースター休暇(4月15~18日)頃に撤廃できるとの見方を示した。新型コロナに感染すると重症化したり死亡するリスクの高い基礎疾患の持ち主を守るためにマスクが果たす役割は大きいとしながらも、マスク着用義務の廃止に向けて進まなければならないとしている。

気温の上昇に伴い感染は下火になる可能性があるものの、コロナ禍の先行きが読みにくいことはこれまでの経験の教えるところだ。このため決議案には、3月20日以降に感染が再び急拡大した場合は規制強化に向けた法案を速やかに成立させることも盛り込まれている。

専門家委員会は最新の提言で、規制の性急な緩和は行わないよう注意も促した。オミクロン株のなかでも感染力の高い亜系統「BA.2」がもたらす影響を現時点で正確に予測できないためだ。安易に緩和を進めると入院したり集中治療を受ける感染者が大幅に増えるリスクがあるとしている。

国と州は12月時点で、新型コロナワクチンの全面的な接種義務を2月にも実施する意向を表明していた。だが、与党内の意見の不一致や、与野党の政治的な駆け引きが響いて接種義務法案の成立は大幅に遅れている。最大与党・社会民主党(SPD)のロルフ・ミュツェニヒ院内総務によると、議会での可決は早くても4月中旬となる見通しだ。

専門家委によると、オミクロン株の流行が終息しても新たな変異株が流行る可能性は極めて高く、遅くとも今秋には感染の新たな波が到来する懸念がある。同委はワクチンを2回以上、接種した人の割合が現在75%(人口比)にとどまっていることを問題視。接種比率を大幅に引き上げなければ、医療が再び逼迫する恐れがあると警鐘を鳴らした。

国と州の首相はこれを踏まえ16日の決議で、「全面的な接種義務導入の必要性を再確認する」方向だ。