ドイツ連邦陸運局(KBA)が3日発表した2月の乗用車新車登録台数は20万512台となり、前年同月を3.2%上回った。増加は2カ月連続。コロナ禍に伴う低迷から緩やかに回復している。ただ、コロナ禍前の20年2月に比べると16%以上、少なく、新車販売はなお回復途上だ。半導体不足に伴う生産調整が響いている。ウクライナへのロシアの軍事侵攻でサプライチェーンが今後、一段とひっ迫すると予想されることから、先行きは厳しい。1~2月の新車登録台数は前年同期比5.6%増の38万4,624台だった。
2月の新車登録を動力源別でみると、電気自動車(BEV)は54.9%増2万8,306台へと拡大。プラグインハイブリッド車(PHV)を含むハイブリッド車(HV)も12.8%増えて5万9,473台となった。ただ、PHVに限ると1.4%減の2万1,583台と振るわなかった。内燃機関車はガソリン車が5.7%減の6万9,195台、ディーゼル車が15.9%減の4万1,471台とともに落ち込んだ。
シェアをみると、BEVは前年同月の9.4%から14.1%、HVも27.1%から29.7%へと拡大。PHVは11.3%から10.8%に後退した。ガソリン車は37.7%から34.5%、ディーゼル車は25.4%から20.7%へと低下している。乗用車新車登録に占めるBEVとPHVの合計のシェアは24.9%、BEVとHVは同43.8%だった。
走行1キロメートル当たりの新車の二酸化炭素(CO2)排出量は118.0グラムで、前年同月から6.7%減少した。環境対応車の増加を背景に低下が続いている。
新車登録の伸び率が最も大きかった部門はミニバンで100.4%に達した。これにSUVが27.2%で続いた。シェアはSUVが27.3%(前年同月22.2%)で断トツの1位。2位のコンパクトカーは前年同月の18.6%から17.1%へと低下し、SUVに大きく水をあけられた。3位の小型車も14.3%から13.3%へと落ち込んでいる。
主要ブランドの実績をみると、電動車専門のポールスター(250.0%増の364台)とテスラ(209.9%増の5,944台)が特に大きく伸びた。ダチア(123.8%増の4,039台)とホンダ(110.8%増の607台)も伸び率が3ケタ台に上っている。
ドイツ車ではミニ(12.7%増の3,733台)、メルセデス(9.5%増の1万8,512台)、ポルシェ(4.9%増の1,885台)が前年同月を上回った。その他はアウディが3.9%減の1万6,381台、BMWが5.4%減の1万5,619台、オペルが6.0%減の1万1,698台、VWが8.0%減の3万6,889台、フォードが11.7%減の9,167台、スマートが15.3%減の1,313台へと落ち込んだ。
ホンダ以外の日本車では三菱が55.7%増の2,916台、マツダが35.5%増の1,925台、トヨタが29.0%増の5,875台、レクサスが26.4%増の206台、スバルが25.8%増の385台と好調だった。日産(19.5%減の1,896台)とスズキ(23.9%減の756台)は前年同月を割り込んだ。
日本車以外の主な輸入ブランドでは、ジープ(51.9%増の1,065台)、DS(39.9%増の207台)、起亜(34.5%増の5,217台)、フィアット(16.2%増の5,804台)、現代(13.2%増の7,373台)が2ケタ台の伸びを記録。セアト(6.9%増の9,060台)とシュコダ(5.1%増の1万2,739台)も増加した。ジャガー(10.4%減の329台)、ボルボ(11.4%減の3,185台)、プジョー(12.8%減の3,500台)、ルノー(22.4%減の6,074台)、アルファロメオ(25.6%減の186台)、シトロエン(25.8%減の2,442台)、ランドローバー(48.0%減の557台)は減少した。
増減率は示されていないものの上海汽車系のMGロエベは650台を記録。浙江吉利とボルボの合弁リンク・アンド・コーも165台と3ケタ台に上った。
一方、独自動車工業会(VDA)が同日発表した2月の国内乗用車生産台数は31万8,700台で、前年同月を1%下回った。減少は2カ月ぶり。輸出台数は1%増えて23万1,200台となった。1~2月の累計は生産台数が前年同期比2%増の57万700台、輸出台数が1%増の41万2,000台だった。