EnBW―「短中期のロシア産ガス依存脱却は不可能」=社長―

独エネルギー大手EnBWのフランク・マスティアウクス社長は23日の決算発表で、ロシア産天然ガスへの依存からドイツが脱却するには時間はかかるとの見方を示した。短期的には全く不可能と指摘。消費量削減や石炭発電の拡大、ガス調達先の多様化を進めても、中期的にみてロシア依存の半分しか相殺できないとしている。

天然ガスが不足する事態に発展した場合は法律の規定により緊急割当制度が導入されると述べた。一般世帯や病院への供給が優先され、製造業は後回しにされる。

調達先の多様化に向けてはLNGターミナルなど必要なインフラへの投資を加速・拡大しなければならないと強調した。暫定的な解決策として建設期間が短い浮体式LNGターミナルは有望だと指摘。EnBWが浮体式プロジェクトに参加することはあり得ると述べた。

ロシアとの取引に関してはプーチン大統領が権力を握る続ける限り天然ガスの新規契約は締結しない意向を表明した。既存の契約は解約しない。同社は現在、天然ガス取引子会社VNGを通して計2件の契約を結んでいる。そのうち1件は年末で失効するものの、残り1件は期限が2030年と長い。EnBWは天然ガスの約60%をロシアからの供給で賄っている。

2021年12月期決算の営業利益(調整済みベースのEBITDA)は前期比6.4%増の29億5,930万ユーロとなり、5期連続で拡大した。化石燃料発電と流通事業が好調だったことが大きい。売上高は63.2%増の321億4,790億ユーロへと急拡大した。

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