ワクチン接種義務化は行われず、法案否決を受け政府・与党が断念

新型コロナウイルスワクチンの接種義務化に向けて独与党3党の議員が上程した法案が7日の連邦議会で否決された。党議拘束がなく反対票を投じる与党議員が多かったためだ。オーラフ・ショルツ首相とカール・ラウターバッハ保健相は新たな法案を上程しても可決される見通しは立たないとの認識を8日までに示し、義務化を断念する意向を表明した。

国と州は昨年12月、新型コロナワクチンの全面的な接種義務を実施することで合意した。ショルツ首相はこれを受け、政府法案を作成し2月にも施行する意向を表明していた。

だが、与党の一角を占める自由民主党(FDP)内で反対意見が強いことから、政府法案の作成を断念。議員立法の形で義務化を実現する方針へと転換した。

与党3党の議員はこれを受け、義務化に反対する法案を含む複数の法案をそれぞれ作成。最終的に義務化の対象を60歳以上に制限する案が最も大きな支持を得る法案として作成された。ただ、与党内の義務化反対論が依然として根強いことから、与党は法案の一本化と党議拘束の設定をともに断念した。圧倒的反対多数で否決されたものの、与党の一部議員は義務化反対法案を議会に上程した。

最大野党のキリスト教民主・社会同盟(CDU/CSU)は義務化を原則的に排除しない意向だった。だが、与党との違いを鮮明に示すために独自法案を作成。義務化実現を目指す与党議員はCDU/CSUとの妥協を実現できない状態で議会の採決に臨むことになった。

この結果、与党の義務化法案は賛成296、反対378、棄権9で否決された。医療や福祉団体は投票結果に遺憾の意を表明した。

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