伝令RNA(mRNA)ベースの医薬品開発を手がける独キュアバックは5日、独競合ビオンテックを提訴したと発表した。ビオンテックが米製薬大手ファイザーと共同開発したmRNAベースの新型コロナウイルスワクチン「コミナティ」がキュアバックの特許を侵害しているとして、損害賠償の支払いを要求。デュッセルドルフ地方裁判所に訴状を提出した。
具体的にはキュアバックの特許「EP 1 857 122 B1」「DE 20 2015 009 961 U1」「DE 20 2021 003 575 U1」「DE 20 2015 009 974 U1」などが侵害されたとしている。同社によると、これらの特許は コミナティの「設計・開発にとって本質的とみなされる複数の発明を支える」もので、同ワクチンのmRNA分子製造技術もこれらの特許に絡んでいる。
キュアバックのフランツヴェルナー・ハース社長は先ごろ『フランクフルター・アルゲマイネ』紙のインタビューで、「従来の(上市されたmRNAベースの新型コロナ)ワクチンはキュアバックのロゴが記されていないものの、多くの部分でわが社が2000年以降に開発したmRNA技術に基づいている」と述べていた。今回の訴訟は同社の「知財権が公正な報酬という形で承認・尊重される」ことを目指して起こしたとしている。勝訴して損害賠償を獲得した場合は、mRNA技術と新たな医薬品の開発に充てる意向だ。コミナティの製造・販売の差し止めは請求しない。
キュアバックは新型コロナワクチンの開発を行っているが、これまでのところ当局の承認を得ていない。赤字を計上している。