ドイツ政府は19日の閣議で、原子力法改正案を了承した。国内に残存している3原発すべての稼働終了期限を今年末から来年4月15日へと延長する。法案は議会の承認を経て11月末までに成立する見通しだ。
同国は2011年の福島原発事故を受けて国内の原発を22年末までにすべて廃止すること決めた。すでに多くの原発が稼働を終了しており、現在も発電を行っているのは「イザール2」「ネッカースヴェストハイム2」「エムスラント」の3基にとどまる。
現行法では3原発の運転を今年末で終了することになっていたが、ロシアのウクライナ侵攻で国内のエネルギー安定供給に懸念が出ていることから、残存原発の稼働延長を決めた。
与党内では延長に消極的な緑の党と積極的な自由民主党(FDP)が対立してきたが、オーラフ・ショルツ首相は17日に内閣総理大臣の指令権を発動。3原発を4月中旬まで延長することが決まった。年明け以降に計5.4テラワット時(TWh)を発電することになる。延長期間は短いことから原発に新たな燃料棒が投入されることはない。