企業景況感10月も悪化、小売業の見通しは過去最低に

Ifo経済研究所が25日発表した10月のドイツ企業景況感指数(2015年=100)は前月を0.1ポイント下回る84.3となり、コロナ禍初期の2020年5月以来の低水準を記録した。状況改善の見通しは立っておらず、クレメンス・フュスト所長は「ドイツ経済は厳しい冬を目前に控えている」との見方を示した。

現状判断を示す指数が0.4ポイント減の94.1となり、全体を押し下げた。期待指数は0.3ポイント増の75.6とやや改善している。エネルギー価格高騰に伴う世帯と企業の負担軽減に向け政府が2,000億ユーロ規模の政策プログラムを打ち出したことがプラスに働いたもようだ。

ただ、期待指数は極めて低い水準にとどまっている。コメルツ銀行のチーフエコノミストは『フランクフルター・アルゲマイネ』紙に、トレンドは依然として下向きだと述べ、「警戒解除はない」と断言した。

景況感指数を部門別でみると、製造業ではこれまでに引き続き低下した。期待指数が悪化したためで、現状判断はやや上向いた。サプライチェーンのひっ迫を受け受注残高は依然として高水準にあるものの、新規受注は減少。エネルギー価格高騰で生産を抑制する動きが中間財メーカーを中心に出ていることもあり、工場稼働率は前月の85.3%から84.6%へと低下した。長年の平均(83.6%)に比べると高い水準にある。

サービス業の景況感指数は大幅減となった前月からやや改善した。現状判断はやや悪化したものの、期待指数が上向いた。

流通業の景況感もわずかに好転した。現状判断が上向いたためで、期待指数は過去最低の水準で低迷。特に小売業で見通しが暗い。エネルギー価格高騰と高インフレを受け消費者が支出を切り詰めていることが大きい。

建設業の景況感はこれまでに引き続き悪化した。現状判断は2016年1月以来の低水準を記録。期待指数も落ち込んだ。受注残高は減少している。

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