フォルクスワーゲン―不振BEVカーシェア事業を売却―

自動車大手の独フォルクスワーゲン(VW)は1日、「ウィシェア」ブランドで電気自動車(BEV)専門のカーシェア事業を手がける子会社UMIアーバン・モビリティ・インターナショナルをドイツ最大の独立系カーシェア企業マイルズ・モビリティに売却したと発表した。ウィシェアは業績が振るわないことから手放すことにした。取引価格は非公開。今後はグループ・ブランドのBEVをマイルズに供給することで販売の底上げを図る。

VWは2019年6月、ウィシェア事業を開始した。それから3年以上が経過したにもかかわらず、サービスの提供地域はベルリンとハンブルクに限られている。内燃機関車のカーシェアに比べ料金が割高なことから利用者は少なく、赤字続きだ。

VWは先ごろ、レンタカー大手のヨーロッパカーを英資産運用会社アテスター、蘭複合企業ポン・ホールディングスと共同買収した。今後はヨーロッパカーを通してレンタカー、カーリース、カーシェア、サブスクリプションといった幅広い移動サービスを提供していくこともあり、不採算のウィシェアを売却することにした。

マイルズは2016年の設立で、現在ベルリン、ボン、デュッセルドルフ、デュースブルク、ハンブルク、ケルン、ミュンヘン、ポツダムの独8都市でサービスを提供している。今秋中にはベルギーのブリュッセルとヘントにも進出する予定。保有車両数は9,000台強で、そのうち約70%をVWグループの車両が占める。ウィシェアを買収したことで新たにVW(ブランド)のBEV「ID.3」と「ID.4」合わせて約2,000台が加わった。今後もBEVを増やしていく計画で、VWと傘下ブランドのアウディ、セアト/クプラのモデルを計1万台以上、発注した。来年から引き渡しが始まる。

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