高級乗用車大手BMWは20日、廃車リサイクルを最適化するための技術開発に向け産学コンソーシアムを立ち上げたと発表した。新車の再生材使用比率を高め循環経済を強化するとともに、自動車産業の資源輸入依存度を引き下げてサプライチェーンを強靭化することが狙い。独経済・気候省から補助金640万ユーロの交付を受ける。
BMWが中心となり「カー2カー」というコンソーシアムを設立した。アルミニウム、鉄鋼、ガラス、銅、プラスチックを廃車から高効率、高比率、高純度で取り出す技術を開発する。同社は新車の再生材料投入比率を現在の約30%から50%へと引き上げる目標だ。
BMWは同比率の向上に向けてすでに、材料をリサイクルしやすい新車設計を行っている。ただ、リサイクルは現在、主に手作業で行われていることからコストがかさみ、再生材料を投入できる部材が限られている。
カー2カーではこうした現状を改めるため、デジタル技術や人工知能(AI)、センサー技術を活用して廃車の解体と廃材の分別を大幅に自動化。低コストで高純度のリサイクルを実現する。
カー2カーではミニとロールスロイスを含むBMW系ブランドの廃車500台を使用する。様々なモデルの内燃機関車、プラグインハイブリッド車(PHV)、電気自動車(BEV)を用いることで、広範囲な知見を得る考えだ。
コンソーシアムにはフライベルク工科大学鉄科学・鉄鋼技術研究所やミュンヘン工科大学循環経済講座、鉄鋼大手ティッセンクルップ・スチール・ヨーロッパ、銅大手アウルビスなど計16の機関・企業が参加している。