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2015/10/23

ドイツ経済ニュース速報

VW排ガス不正、該当車数が拡大の恐れ

不正なソフトウエアを搭載するフォルクスワーゲン(VW)グループのディーゼル車の数がこれまでVWが発表してきた1,100万台よりも増える可能性があることが分かった。dpa通信が同社への問い合わせをもとに22日報じたもので、広報担当者は調査を進めていることを明らかにした。 VWグループでは違法なソフトを使ってディーゼル車の排ガス値を操作していたことが先月中旬に発覚した。該当する車両はこれまで、欧州排ガス基準「ユーロ5」に対応した「EA189」エンジン搭載モデルとされてきた。だが、ここにきてEA189の後継エンジン「EA288」を搭載した車両も不正ソフトを搭載している疑惑が浮上してきた。 EA288は2012年に導入が始まったエンジンで、当初の2年間はユーロ5対応に限られ、14年から漸次、ユーロ6対応に切り替えられていった。不正ソフト搭載の疑惑が持たれているのはユーロ5対応のEA288。独連邦陸運局(KBA)はユーロ6対応のEA288については不正ソフトが搭載されていないと断定しているものの、ユーロ5対応EA288については搭載の可能性を排除していない。 ベルギッシュ・グラートバッハ経済専門大学(FHDW)付属自動車研究センター(CAM)のシュテファン・ブラッツェル所長はロイター通信に「先行エンジンEA189の(不正)ソフトを新開発エンジン(EA288)のベースとしてそのまま採用したのではないか」との見方を示した。同所長の計算によると、ユーロ5対応EA288搭載車は欧州だけで200万台を超える。ドイツでは2014年に新車登録された全ディーゼル車(VWグループ以外のブランドを含む)のうちユーロ6対応車は4分の1に過ぎず、残りはユーロ5対応車だった。 VWは10月中旬に発表した主力ブランドVWの新製品戦略のなかで、欧州と北米市場向けのディーゼル車に環境負荷を軽減する選択触媒還元(SCR)システムと尿素水「アドブルー(AdBlue)」を、可能な限り早い時点で全面導入する方針を打ち出した。ただ、これらの環境技術はコストが高いため、VWは将来、欧米で「ポロ」などの小型ディーゼル車販売を中止するとの見方も出ている。