ドイツポストがタイ小包市場に参入、東南アジア攻略へ

ドイツポストがタイの小包市場に参入する。インターネット通販市場の拡大を背景に需要の大幅な伸びが見込めるためで、同国を皮切りに東南アジア市場を開拓していく考えだ。物流子会社DHLで欧州域外のネット通販向け輸送事業を統括するトーマス・キップ氏が『フランクフルター・アルゲマイネ』紙に明らかにした。

首都バンコクに配送センターを開設するほか、国内に計20の地域配送拠点を設置。荷物の受け取りから仕分け、地域配送拠点への輸送までを担当する。送り先への配達は各地の提携先企業が引き受ける。まずは従業員およそ200人でスタートする。今後3年間で約5,000万ユーロを投資する予定だ。人口密集地域では配達に小回りの利くオートバイを利用し、即日配達を実現する。

ドイツポストが東南アジア市場攻略の橋頭保としてタイに白羽の矢を立てたのはスマートフォンの普及を背景にネット通販市場の急速な成長が予想されるためだ。コンサルティング大手A.T.カーニーは同国の小包市場規模が現在の約15億ドルから将来は120億〜150億ユーロに拡大すると予想している。インフラが比較的良く整備されているほか、離島が少ないこともプラスの判断材料となった。

同社はネット通販の世界的な拡大を受けて小包事業の国際化に取り組んでおり、欧州ではすでにベネルクス諸国、ポーランド、チェコ、スロバキア、オーストリアへの進出を果たした。欧州域外でも中国、インド、米国で事業を展開している。東南アジアは経済が急成長しているうえ、人口も5億5,000万人と多いことから、ドイツポストは市場の本格開拓に乗り出した。

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