BMWが7シリーズのクーペ投入検討、メルセデス・Sクラスに 対抗

高級乗用車大手のBMWが旗艦モデル「7シリーズ」で新たにクーペを投入することを検討しているもようだ。モデルの種類を増やして販売台数を拡大。競合メルセデスベンツの旗艦モデル「Sクラス」を追撃する。社内情報として22日付『ハンデルスブラット』紙が報じた。同社は報道内容へのコメントを控えている。

Sクラスの販売台数は昨年12万5,000台に上った。現行モデルが発売された2013年以降、年平均10万台を超えている。

一方、7シリーズは昨年の実績が3万6,364台にとどまった。昨年10月に新型車を投入した効果で、今年は最大6万台まで拡大すると同社は予想しているものの、Sクラスとの差はなおも大きい。

Sクラスの販売台数が多いのは、セダンだけでなくクーペも取りそろえているためだ。BMWはこれを踏まえて、7シリーズ・クーペの投入を検討している。

旗艦モデルは利益率が高く、Sクラスは販売1台当たりの利益が約3万ユーロに上る。Sクラスは販売台数も多いことから、旗艦モデル全体の利益はBMWを年10億ユーロ上回るという。

BMWは7シリーズの車種を増やすことで利益を拡大。多額の資金を要する車両のデジタル化や電気自動車(EV)分野に投資する考えだ。

7シリーズ・クーペの主要市場としてはドイツ製高級車の需要が大きい中国と米国を念頭に置いている。ただ、ユーロ安や従業員の理解を得やすいという事情を踏まえ、生産を行う場合は独南部のディンゴルフィング工場に白羽の矢を立てる可能性が高いという。