化学大手エボニックが大型買収か

化学大手の独エボニックが米同業エアー・プロダクツから日焼け止めクリーム・染料向け化学品事業を買収するとの観測が出ている。『ウォール・ストリート・ジャーナル』紙が消息筋の情報として報じたもので、買収交渉は進展した段階にあるという。『ヴィルトシャフツボッヘ』誌によると、エボニックは蘭塗料大手アクゾノーベルの特殊化学事業の買収も狙っているもよう。同社はメディアの問い合わせに対しコメントを控えている。

エアー・プロダクツの日焼け止めクリーム・染料向け化学品事業は時価が35億ドルを超えるもようで、エボニックが取得すれば大型買収となる。

エボニックは動物飼料事業への依存度が高い。このため最近は飼料添加剤の価格下落や中国市場低迷の直撃を受けており、市場からは事業の多角化を進め景気変動の影響を緩和できる体制を構築するよう求められている。

大型買収観測が出てくる背景にはこのほか、◇潤沢な手元資金を保有している◇業界再編で主導的な役割を演じたいとの発言をエンゲル社長が繰り返している――という事情もある。同社長は今月初旬、近い将来に買収のチャンスが出てくる可能性があると明言した。

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