独海運最大手のハパックロイドは21日、中東系同業のユナイテッド・アラブ・シッピング・カンパニー(UASC)とコンテナ事業統合の可能性も含めて提携交渉を進めていると発表した。ハパックロイドは2014年12月にコンテナ事業をチリ同業のCSAVと統合したばかり。海運業界では過剰な輸送能力を背景に運賃が下落し利益が圧迫されていることから、各社は買収や提携、事業効率の引き上げを通して業績改善に取り組んでいる。同社もUASCとの提携で規模の効果を引き出したい考えだ。
コンサルティング会社MDSトランスモーダルのデータによると、ハパックロイドのコンテナ輸送能力は96万6,000TEU(20フィートコンテナ換算)で世界5位、UASCは同50万9,000TEUで12位。両社がコンテナ事業を統合すると147万5,000TEUとなり、2月に中国海運集団と統合して4位となった中国遠洋海運集団(同157万5,000TEU)との差を大幅に縮めることになる。
ハパックロイドとUASCの交渉は破談となる可能性があるものの、ハパックロイドは両社のコンテナ事業の評価額比率(暫定)を明らかにした。ハパックロイドが72%、UASCが28%となっている。
UASCはクウェートに本社を置く企業。コンテナ船の保有数は57隻で、ハパックロイドの177隻を大幅に下回るものの、積載能力1万8,800万TEUの巨大コンテナ船6隻を現在、建造させている。ハパックロイドは同クラスの巨大コンテナ船を持たないことから、UASCとの事業統合が実現すると、この穴を埋めることができる。
UASCは現在、独海運2位のハンブルク・ジュドと提携。輸送効率を高めるためコンテナ船の空きスペースを融通しあっている。5月からは大西洋路線で共同運航も開始する予定だ。これらの協力関係はハパックロイドとの事業統合が実現すると打ち切られる公算が高く、ハンブルク・ジュドの広報担当者はメディアの問い合わせに対し「(両社の)交渉を見守もっていく」と回答した。