半導体製造装置メーカーの独アイクストロンは23日、中国の投資会社・福建芯片投資基金(FGC)が同社に対する株式公開買い付け(TOB)を計画していると発表した。アイクストロンの取締役会と監査役会は同計画を支持しており、TOBは友好的なものとなる。アイクストロンは経営が悪化していることから、FGCの支援を受けて事業を成長軌道に乗せたい考えだ。
FGCは独子会社グランド・チップ・インベストメント(GCI)を通してアイクストロンを現金買収する考え。1株当たりの提示額は過去3カ月間の加重平均株価を50.7%上回る6ユーロで、アイクストロンを約6億7,000万ユーロと評価している。60%以上の株式取得をTOBの成立条件としている。
アイクストロンはFGCの傘下に入ることにより最重要市場の中国で事業を強化するとともに、投資資金を確保する考え。FGCは買収後にアイクストロンでコスト削減や人員整理を行わず、本社所在地も独ヘアツォーゲンラートにとどめるという。
アイクストロンの売上高はピーク時の2010年には7億8,380万ユーロに達していた。当時は液晶テレビのバックライトがLEDに切り替えられる時期に当たっており、中国のLEDメーカーが同製造装置を大量に調達したことが背景にある。だが、この結果、LED業界は過剰生産能力を抱え込むことになり、アイクストロンの業績は急速に悪化。15年売上高は1億9,780万ユーロにとどまった。昨年12月には中国の発光ダイオード(LED)チップ大手、三安光電から大規模なキャンセルを受けており、12年から続く赤字が黒字転換する見通しは立っていない。