仏国有造船会社DCNSが独ティッセンクルップの軍用船子会社ティッセンクルップ・マリン・システムズ(TKMS)の買収ないし合併を検討しているもようだ。DCNSのアンドレアス・レーヴェンシュタイン取締役(戦略担当)は5月31日、パリでドイツ人記者団と会談。買収、合併という言葉を避けたものの、ティッセンクルップと話し合いを行いたいと明言した。
DCNSがTKMSに熱い視線を送る背景には、これまで欧州勢が圧倒的に強かった軍用船市場でロシア、中国、日本、韓国、インド、ベトナムが存在感を高めていることがある。この傾向がさらに強まると受注競争に敗れる懸念があるため、TKMSと一体化して規模の効果を引き出し、最先端分野の研究開発力などを高める考えだ。
DCNSはオーストラリアの次期潜水艦の選定に向けた入札で、日本勢(防衛省、三菱重工業、川崎重工業からなるコンソーシアム)とTKMSを破って落札したばかり。レーヴェンシュタイン取締役はこれを踏まえ、「現在はおそらく(TKMSの買収などに向けた)そうした話し合いに最善の時期ではないが、ドイツ側が痛手から立ち直れば我々は話し合う準備がある」と語った。