ファッション通販大手のツァランドは9日、スポーツ用品大手のアディダスと共同で即日配達のパイロットプロジェクト(PP)を首都ベルリンで開始した。インターネットやパソコンがある生活環境で育った「デジタルネイティブ」世代(ジェネレーションY)のニーズに対応するとともに、ファッション通販事業を急速に拡大するネット通販最大手アマゾンに対抗することが狙い。PPで効果が確認できれば、他の都市や国外に提携地域を広げるとともに、ファッションメーカーなど他の企業とも連携していく考えだ。
サッカー欧州選手権(ユーロ2016)の開幕(10日)に合わせてPPを立ち上げた。顧客はツァランドの通販アプリ「ジップカート」で例えばアディダスが手がけるサッカードイツ代表ユニフォームのレプリカを15時までに注文すると、ベルリン中心部のタウエンチーン通りにあるアディダス・ショップが無料で配達。顧客は自宅などで同日の19〜21時の時間帯に受け取ることができる。配達区域は半径15キロ圏内となっている。
即日配達のニーズは特に若い世代で大きい。アディダスのEコマース担当者はロイター通信に「ジェネレーションY(1980年〜99年生まれ)は注文直後に商品が届くことを求めている。待つことを嫌い、かといって実店舗に商品を取りに行くことも好まない」と同世代の特徴を説明した。
アディダスは今回の提携により、販売チャンネルを拡大。実店舗が大量の在庫を抱え込み安値で処分する事態の回避につながると期待している。