クーカ株86%を美的集団が確保

中国家電大手の美的集団は20日、ロボット大手の独クーカを対象に6月16日〜7月15日の1カ月間、実施した株式公開買い付け(TOB)で同株85.69%を確保したと発表した。最低目標である30%を確保したことから、法律の規定により新たに2週間(21日〜8月3日)の追加買い取りを実施。さらに多くを確保する可能性がある。

美的集団は同TOBを6月16日に開始した。買い取り価格は115ユーロで、クーカへの出資比率を10.2%に引き上げたことを公表した日の前日(2月3日)終値を59.6%上回る極めて高い水準だった。このため、大株主を含めほとんどの株主が受け入れた。

クーカはTOB期間中の6月28日、美的集団のTOB計画支持を表明するとともに、美的集団と協定を締結したことを明らかにした。2023年まではクーカの独立を保証するほか、上場廃止も行わないという内容。このため、クーカのスクイズアウト(他の株主からの強制的な株式買い取り)は実施できない。

クーカのロイター社長は6月、美的集団はクーカを買収せず株式の取得比率を45〜50%にとどめる考えであることを明らかにした。TOBで過半数株を確保した場合は売却する方針で、クーカはすでに売却先の模索を始めているという。

ただ、美的集団からは出資比率を50%以内に抑えるとの公式声明は出ておらず、今回のTOBで取得した株式の一部を本当に転売するかは確実でない。また、転売するにしても売却価格は1株115ユーロという極めて高い水準になるとみられることから、買い手がみつからない可能性が高い。追加買い取り終了後(8月4日以降)はTOBで高騰しているクーカの株価が大きく下がるという事情がある。

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