米国のトランプ次期大統領は16日付の独日刊紙『ビルト』のインタビューで、独高級車大手のBMWが計画通りメキシコに工場を建設すれば同地から米国に輸出する車両に35%の税金を課す考えを明らかにした。ドイツ企業に名指しで圧力をかけるのは今回が初めて。独政財界からは次期大統領に対する批判が出ている。
BMWは昨年6月、メキシコ中部のサン・ルイス・ポトシで新工場の起工式を行った。小型車「3シリーズ」を2019年から生産する計画。ドイツと中国の同モデル生産を補う拠点と位置づけている。同社は米サウスカロライナ州スパータンバーグに工場を持っており、トランプ発言を受け「BMWグループは米国を自宅のように感じている」との声明を出した。
一方ドイツのガブリエル経済相は、国外生産車両に高額の税を課す保護主義的な政策は米国自動車産業の競争力低下につながると指摘。「米国はもっと優れた自動車を生産すべきだ」と批判した。
独自動車工業会(VDA)のヴィスマン会長は、トランプ氏の輸入税計画は米国議会で強い抵抗にあうだろうと述べたうえで、「関税その他の通商障壁を構築すれば、米国は長期的に自らの肉体を切り刻むことになる」と明言した。
独産業連盟(BDI)のケンプ会長も「米国とメキシコは分業関係にあり、これが両国の競争力向上につながっている」と指摘。トランプ氏が自動車メーカーのメキシコ投資を強権的に中止させれば、米国経済は痛手を被ることになると警告した。